いちえの「空飛ぶ声のBlog」

日々のあれこれ。

電車の中で2時間

今日の夕方起きた関東地方の大きな地震。 私は埼玉県の所沢にあるとある建物の地下で音楽関係のセミナーを受講していた。 地下だったこともあるのか、揺れは大きくなかったが、随分、長い時間揺れていた。 その揺れの長さで、芸予地震阪神大震災の時の感覚が蘇り、 「これは大きいぞ」と思った。 iモードで調べようにも電話が繋がらなくなっている。
NHKを離れてから携帯ラジオを持ち歩かなくなっているので、他に情報を得る物がない。

それから10分くらいでセミナーが終わり、会場の外に出たが、
特に変わった様子もない。
そんなに大きくなかったのかなと思いながら駅に向かい、西武線に乗り込む。
車内アナウンスでは「強い地震の影響で首都圏の鉄道は運転を見合わせている路線がある」とのこと。

それでもその時は、乗っているこの電車が動いているんだから大丈夫だろうと、楽観的に考え、
西武線・・・JR線・・・と乗り換えた。
今日の目的地から最寄り駅までは4回の乗換が必要だったのだが、駅で電車を乗り換える度に、
「運転を見合わせていましたが@@駅まで運転します」とのアナウンスが流れる。
どうやら、運転を再開してすぐの電車ばかりに運良く!?乗っているようだった。

それでも順調だったが、JR南武線に乗り換えた時、雲行きが怪しくなった。
川崎市にさしかかろうかという駅で、止まってしまった。
この先の運行再開のめどは立っていないという。

iモードでようやく情報を得ると震度5の所があったという。
大変だ。放送では地域放送を出していたとしても、強制的に全国放送に引っ張られる震度だ。
テレビラジオ同時放送だろうか。などと考えてしまう。

まぁ、でも今、こういう時に電車の乗客の一人としてどう思うか、
まわりの人の様子はどうかということをしっかり見ておこうと思った。

私鉄は路線によっては運行再開している所もある。
車内放送では、動いている路線を利用した振り替え運行の案内も流れている。
かなりの回り道になるが、今動いている路線を利用するため電車を降りるか、
このままこの電車の運行再開を待つか、判断しなければならない。

運行再開の時間によっては、このまま待っていた方が早いだろう。
携帯で相談する声も聞こえてくる。
パラパラと電車を降りる人が出てきた。
幸い目の前の座席が空いた。

座れたことだし、すぐに再開するかも知れないし、そのまま電車の中で待つことにした。
読みかけの文庫本もあることだし・・・。

ひたすら読んでいると・・・・読み終わってしまった。
まだ運行再開のめどは立たないという。
もう一冊、新書本を持っていたので読み始めたが、少し難しい内容だったので眠くなる。
Zzzz・・・・
・・・・目が覚めてもまだ動いていない。
すでに1時間経過している。

そろそろお尻も痛くなってきたが、座っている分、恵まれている。
花火大会へ向かう途中であろう浴衣の若いカップルや、
スポーツ新聞を片手にもったスーツの男の人、学生達は立っている。
近くにいた女子高生4人組は、1つの座席を4人が交代で座っている。

車内放送で、現在の状況を頻繁にアナウンスしてくれるのが唯一の救いだった。
携帯の電池も切れそうだし、情報を得る手段は車内放送だけだ。
これからはやっぱり携帯ラジオをもちあるこうと強く思った。

止まってから1時間半を過ぎた頃、ようやく運行再開できそうだという車内放送が流れた。
しかし、各駅で止まっている電車1つ1つを順番に動かすと言うことで指示待ちらしい。
電車が動いたのは結局、止まってから2時間近くたった頃。

ぐったりした人たちの疲れた空気が漂う中、女子高生達の歓声が響いた。
「あ!花火!」
乗客達は一斉に窓を見る。

車窓からは花火が見える。
時折、建物の影になって見えなくなるが、だんだん花火に近づいていく。
女子高生は「どうせとまるならここで止まってくれていれば良かったのに・・」
車内の人は誰も返事はしなかったが、みな「ホントにね」と思っただろう。
疲れていたが随分花火で癒やされた。ありがとう花火。

その後は、最寄り駅まで順調に運行され、無事に帰宅する事が出来たが、
「帰宅難民」と言うことが他人事じゃないんだと実感した。

念のため、実家の親が心配しているかも知れないと、電話をしてみた。
私「もしもし、とりあえず無事やけん。でも、電車が止まって帰るん大変やったんよ。」
母「ん?なんかあったん???」
私「テレビみよらんかったん?」
母「今日、花火大会やけんね、行っとったんよ。」