200万で出版する?

「女三人北欧珍道中」ホームページにタイトルだけ書いておきながら「執筆中」のままだ。

かれこれ時間が経ってしまった。

今は、仕事もほとんど無くて暇なんだし、

いっちょ「夏休みの宿題」と思って8月中に書き上げようと思った。

(ずっと夏休み状態が続いたらどうしよう・・・)

そういえば、最近なぜか女性作家さんによる旅行記を続けて読んだ。

普段、他人の旅行の話を読んでもなぁ、と思っているので滅多に読まないジャンルなのに。

やっぱり今は田口ランディさんの本に呼ばれているらしく忘れないよ!ヴェトナムを始め、

角田光代さん、小林聡美さん、群よう子さんの旅行記を立て続けに読んだ。

なんで、今まで読まなかった旅行記をこんなに一気に読んでしまうんだろう。

これは「ちゃんと書き上げなさい」と神様が言っているのかも知れないと、勝手に判断した。

ま、それで書く気になったんだから良いか。

実際、何人かの旅行記を立て続けに読んだ事で、「旅行日誌」を書くのは気が重いけど、

「旅コラム」的な物ならかけそうだな、と思えたのだし。

暇に任せて書き進め、8月31日まであと2日と言うところで最後まで書き上がった。

すごい。自分で決めた締め切りを守れるなんて。

夏休み最終日に泣きながら宿題をやっている友達を意地悪で遊びに誘いたいような気分になった。

たった2週間の旅なのに思い浮かぶまま書いていると、5万字を超えてしまった。

こうやって振り返ると、変な旅だったなぁ。

フィヨルドもオーロラも見ない北欧の旅。

さて、原稿を書き上がったとはいえ、読み返してもいないので、まだまだ直したい。

素人執筆で思いつくまま書いているので、無駄も多いし、足らない事もある。

とりあえず、筆休めと思い、ネット上を散歩していると、

とある出版社が「原稿募集」しているのを見つけた。

気軽な気持ちで、ネットの応募フォームに概要を書き込み、送ってみる。

担当者から連絡があり、とりあえず書き上がったままの状態で原稿を送る事になった。

原稿を送ってから10日ほど過ぎた頃、すごーく丁寧な回答が返ってきた。

A4にびっちり8枚に渡って審査委員会の方々の審査結果と評価が書いてあった。

ちなみに私が仮にに着けたタイトルは

「30超えてもアンダーエイティーン〜女三人北欧珍道中〜」である。

歯の浮くような過大評価。

頂いた評価をちょっとだけ紹介すると、

<観光地についての記載がほとんど無く、北欧での体験を通して「大人」として無理に頑張りすぎる必要はないのだと、新しい人生観を発見していく姿も写し取っている。着眼点の独自性によって、旅行記の類書とは一線を画す興味深い内容の作品に仕上がっている>とか

<巨大なベビーカーの指摘などが興味深く、著者が発見した価値観の違いは、福祉や音楽、森のとらえ方など実に幅広い。ベビーカーのサイズの違いから、福祉感の違いをやわらかいタッチながらも鋭く考察している。>とか

<ユーモアとシリアスなテーマとのほどよいバランスが心地よかった>とか

とにかく前半はほめまくっている。

最後の方で、改善点が指摘される。

この評価を書く人たちの巧みなテクニックに脱帽である。

で、結果は、

「是非、弊社の新刊として全国流通させてみたい」

という事なのに、

「現在の出版業界は本の洪水状態なので、コスト回収が難しいため、費用を著者と負担し合う出版形態」

を提案された。

「これは作品の《質》に基づく判断ではない事をご理解下さい」と。

ということは、どんなに良い質の本でも、費用は著者が出してね、ということである。

最初の過大評価で「いい気」になっていた私は、ここで冷静になる。

ははん?

さらに読み進むと、さらに冷静になる。

テレビやラジオに取り上げられる事もしばしばだとか、

弊社刊行物は国立国会図書館へ納本されるとか・・・

ほほう・・・。

こんな私でも、一応は放送業界のはしくれにいる(いた?)人間である。

テレビやラジオに取り上げられる事=すご〜い私もそうなるかもぉ!とは思わない。

国立国会図書館へだって、選ばれた本だけが納品される訳じゃない。自費出版でもOKだ。

というより、どんなところから出版される本でも送れば納品される。

聞いた話によると、マイナーな出版形態の場合は、

図書館側から「送って下さいね」と言われる場合もあるそうだ。

どうせ、こんな事だろうと思った、と結果を読み終わった時、

見ていたかのようなタイミングで、その出版社の担当者から電話がかかってきた。

「やっぱり良い声されてますね」って・・・

やっぱりって何?プロフィールに一応「フリーアナウンサー」って書いたから?

今の時代、良い声=アナウンサーっていう感覚もどうかと思う。

言われて悪い気はしないけど、あまり嬉しくもなかった。

すぐに原稿についての話になり、べた褒めされた後、直すべき点を指摘される。

「でも、費用を負担しなきゃいけないなら出版する気はありません。

 元々HPにのせようと思って書き始めた物だし」というと、

「HPにのせるとなると、自分で推敲してのせるだけですよね、

 一度、プロの編集者と一緒に出版できる形態として完成させませんか」と巧みに口説かれる。

確かに、「プロの編集者」とやらの手ほどきは受けてみたい。

編集は編集でもVTRの編集しかしらないもんなぁ。私。

「巧みなセールストークには乗らないぞ」と構えていた私も、ちょっとそこでグラッときた。

出版業界の編集者とは、どんな手法を持っているのか、興味がある。

私の稚拙な文章が、どう料理されるのか見てみたい。

きっと、私にとってもプラスになるに違いはない。

ああ、いいかもと思ってしまった。

さすが、相手もセールストークのプロだ。

結局、「出版負担費用の見積もりだけでも」というセールストークにのせられ、

見積もりだけ出してもらう事になった。

で、3日後、届いた見積もりは200万を超えていた。

やっぱりな。

そうだと思ったよ。

もちろん、200万出して出版するつもりはない。

確かに「著作物がある」というのは強い。どんな本であれ業績になる。

履歴書にもプロフィールにも書ける。

でも、そのために200万は出したくない。

それならインターネット上で、気ままに発表する方が良い。

「一括でお支払いされる方はほとんどいません。みなさんローンですから」と言われても

今の私にはローンでも無理だ。

いや、例え払える収入があったとしても、嫌だ。

でも、それくらい出しても出版したい人は大勢いるようだった。

もちろん、そういう方々を否定するつもりはない。

しっかりとこの出版者と話し合い、納得してお金を払い出版するのは良いと思う。

一生の記念、と思って出版するのも良いのかも知れない。

ただ、私にはそんなつもりはない。

「記念」で出版するなら、たとえ全国流通しなくても数十万で自費出版する方が良い。

という事で、断る気満々!

だったのに、かかってきた電話の巧みな営業トークに「即お断り」ができなかった。

気の弱い私。

かといって、200万払う気はさらさら無い。

なんとか、その場をしのごうと

「友人にも相談してみますので」と言って電話を切った。

来週末に返事をする事になっている。

絶対断る。断固断る。

他社での出版が決まったので・・・なんて言えればいいが、そんな都合のいい話はもちろんない。

こういうときは、お金がないとか、HP上で発表する事にしたとか、いろいろ言い訳は考えつくが、

下手に理由は言わない方が良いんだろうな。

ああ、良い勉強になる。

ちゃんと納得してお金を払えば「本」になって出版されるわけだし、

お金を払った人も出版物が出来て喜んでいるわけだから、

「○○商法」や「○○詐欺」の類とは違った立派な商売の手法なんだろうけど・・・。

世の中、いろんな手法でお金を稼いでいる人(や会社)がいるもんだなぁ、と思う。

広告を非表示にする