いちえの「空飛ぶ声のBlog」

日々のあれこれ。

応援すること、応援されること

サッカー天皇杯 ザスパ草津vs愛媛FC の試合を見に行った。

もちろん、愛媛FCの応援。

といっても、愛媛FCの試合を見に行ったのはこれが初めてだ。

愛媛にいたときには、一度も応援に行った事がなかった。

知らなかった訳じゃない。

愛媛FCについては、同僚のスポーツ担当リポーターが追い掛けて取材していたし、

メンバーには何度か番組に出てもらっているので、

代表的な選手の顔と名前くらいは把握していた。

ただ、取り立てて、サッカー場に「応援に行こう!」とまでは思わなかった。

全く興味がなかったわけでもない。

何しろ、私の出身高校は南宇和高校だ。

今となっては知らない人の方が多いかも知れないが、全国高校サッカー選手権で優勝している。

初めて優勝旗が瀬戸大橋を渡り、四国の最果てにやってきた。

決勝が行われた国立競技場の入場者数より、郡内の人口の方が少ないというのでも話題になった。

私が高校3年生の時だった。

優勝時の選手は同級生が多い。

私はキーパーのKくんと同じクラスだった。

全国各地からファンレターが届いたり、女の子達からサインをねだられたりする様子を見ていた。

私はただそれを「アイドルみたいやねぇ」と見ていた。

ただ、その時も私は応援に行かなかった。

というより、行けなかった。

なにしろ、決勝が行われたのは、

センター試験(この年、共通一次からセンター試験へと名称が変わった)の数日前だった。

私の性格はあまのじゃくだ。

盛り上がっているのに乗り遅れると、もうそれには乗りたくなくなる。

キャーキャーいわれるサッカー部の同級生にも、

「あらあら、大変ねぇ。」くらいにしか思わなかった。

私にとって、ずっと「近くにあっても遠いもの」だった。

そんな私を、サッカー場に引っ張り出したのは、

同じ南宇和高校出身のIさんだった。

Iさんとは、こっちに来てから、ひょんなきっかけで知り合ったパワフルな人だ。

2つも年下なのに、すごく大人びている。(おやじくさいという意味ではない)

「9日の愛媛FC、応援に行くでしょ?マイクロバスを出しますから、9日、9時半に新宿駅西口で」

といわれ、断る理由はない。

正直言うと、ちょっとめんどくさいかも、とも思わないでもなかったが、

私はこの強引さに弱い。

これくらい強引に引っ張ってくれるのは心地いい。

こんな事でもないと、行かないしなぁ、と向かったのが、群馬県営サッカー場。

会場は群馬と遠いにもかかわらず、愛媛から応援にかけつけた人も多かった。

新宿からの29人乗りのマイクロバスも満席だった。

私もオレンジのTシャツを買い、応援したが、

試合は、最後の最後で逆転され、残念ながら3-2で負けてしまった。

試合後、「選手が出てきますから、待ちましょう。」と言われるがままに通用口の前で待った。

パンフレットとペンもって待っているサポーターもいる。

いっしょに写真を撮ってもらおうと、カメラを持って待っているサポーターもいる。

・・・しばらくすると、着替えの終わった選手から次々と出てくる。

一旦、荷物を選手を送迎するバスにのせると、降りてきてサインや写真撮影にこたえている。

しかも、選手達は皆、スーツにネクタイ姿だ。

髪型もきっちり整えている。

試合が終わったからといってダラダラした様子はない。

正直言うと、驚いた。

プロ意識だなぁと思った。

J1の有名な選手だったら何も驚かなかったかも知れない。

これからJ2入りを目指す選手達。しっかり応援される意識を持っていると思った。

応援されるに値するプロ意識とでも言うのだろうか。

それは決しておごりでもうぬぼれでもなく・・・。

応援しているサポーターも、応援する事を喜びとしている。

「応援される」ってすごいと思った。

サッカーも競技を通して人前で表現する仕事だと思う。

ただ、それは勝敗という結果が出るので、とてもわかりやすいし、楽しみやすい。

だから応援しやすい事もあると思うが、「応援する」人も応援する事を楽しんでいる。

「応援する」ってなんだろう。「応援される」ってなんだろう。

ただ、それは直接その人に手を貸さなくても、その人の大きな力となり、

その人がそれを受けて試合という場で表現することで応援している方の力ともなる。

私はこれからもいろんな人を「応援し、力をもらう」と思う。スポーツ以外でも。(どちらかというとスポーツ以外の方が多そうだ)

そしれ、私も人前で表現する仕事をしている以上、

応援されるに値するプロ意識を充実させなければならない。もちろん、謙虚に・・・。

初めて応援に行った愛媛FCの試合を見に行って、サッカーの事を考えず、

「応援」ってなんだろう。そんな事ばかり考えてしまった。