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声で表現すると言うこと、物語を読むということ

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台風の中、朗読劇を観に大阪に行ってきた。

演劇ではなく、朗読劇。演じるのではなく、朗読する劇。

役者さんによる朗読を聴くことは、アナウンサーとしてもとても勉強になる。

梨木香歩さんの「家守綺譚」の朗読劇が行われるという情報を聞きつけた。

ここ数年、私の一番のお気に入りの作家は梨木香歩さんだ。

その世界観が大好きなのだ。人、植物、動物、時代、生きているものと、そうでないもの、あいまいな境界…。梨木さんの書くものは、読むたびに受け取り方が変わる。「家守綺譚」は、その中でも好きな作品。

キャストを知って、これは絶対聞きに行かねば!と思った。

佐々木蔵之介さん、市川亀治郎さん、佐藤隆太さんの三人。

なんといっても、家守綺譚の主人公「綿貫征四郎」のイメージは、

私の中では佐々木蔵之介さんがぴったりだと思っていたからだ。

公演当日、台風の影響で交通機関が大幅に乱れ、私は七時間半もかけて大阪にたどり着いた。

席に着いたときには、すでに開演から30分ほど過ぎていた。でも、後半だけでも観たい!

舞台上には、縁側。

三人が袴姿で並んで座り、読む。

基本的には、綿貫征四郎の台詞の部分は、佐々木さん、高堂は亀治郎さん、(女性も亀治郎さん)、和尚は佐藤さん、となっていたが、三人とも綿貫の一人称で書かれている文章はみんな読む。

佐々木さんは、あまりにも私のイメージ通り。文句なし。

ただ、役者だからこういう読み方がキマルけど、アナウンサーがこう読むと、かなり不自然な読みに感じるだろうとも思った。

亀治郎さんの読みからは、歌舞伎の基礎力がどれほどに強いかを感じる。

客席からの気の感じ取り方もすごい。

話が進むにつれ、すごい集中力。ぐいぐい引っ張り込む。

佐藤さんは、本当にナチュラル。年齢的には一番主人公に近いためか、違和感なく入ってくる。

三人とも素敵だった。

実は、この公演、初日と翌日の昼公演と2回観ることができた。

台風の影響で、帰れなくなり、大阪泊になってしまったのだ。

どうせ泊まるなら、もう一回観たい。当日券もわずかにあるという。

たのしみにしていた「サルスベリ」「都忘れ」の章は、最初の方だったので聞けていない。

せっかく大阪まで来たのだから、聞いて帰りたい。

この朗読劇のために来たのだから。

2日目は、キャンセルがあったのか初日より前の席が取れ、

表情までばっちり見える。

他の人が読んでいるときの表情まで見える。

これは、いい。

役者さんだけあって、他の人の朗読の中で、自分が一部参加する台詞が近づくと、

すーっとその役の中に入っていく。

その表情が見える。

おもしろい。

少し難しい言葉遣いや、現代ではあまり使われなくなった言い回しも、

さすがの亀治郎さんは自然にこなす。

小説を一人で黙読しているときには気付かなかったユーモアや、発見が大きい。

原作が生きている。

演劇ではない朗読劇の芸術性、面白さを目の当たりにした。

さて、アナウンサーによる朗読で、何ができるか。

挑戦したい気持ちが以前に増してわいてきています。

最後にパンフレットから。

演出の長部聡介さんの言葉を抜粋「…すると「家守綺譚」は多くの人が大切な家族や友人、恋人を亡くした痛ましい震災後の世界を生きる今の我々にとっての救いの物語として読めてきました。」

あちらの世界とこちらの世界の境界線を描く梨木さんの作品は、何度読んでも読む時々によって、新たに受け取れるものがあります。朗読劇を通して、また、私一人で読んでいるのでは受け取れなかったものを受けとれたことに感謝しています。

おまけ:

むずかしい言葉も、現代の都会生活ではあまりなじみのない植物の名前も多かっただろうと思う。ということで、佐藤隆太さん、「よなめ」じゃなくて「ヨメナ」ですよっと。間違えたの、気付いてるかな?きっとなじみがなかったんだね。

三人の和服の衣装は、亀治郎さんが選んで着付けもしてくれたそうです。

亀治郎さんは、ずっと正座してました。

私は…、台風の影響で、帰りも二転三転。

交通機関は運休ばかり。

その時点で予約の取れた、深夜バスを予約、さらに飛行機を予約。

先に空港に行って、飛ばなければ戻ってこようと、空港に向かう。

幸いにも飛行機が飛び、無事に帰り着く。

深夜バスは運休が決定したらしい。

無事に帰れたことに感謝、朗読劇がすばらしかったことに感謝、

facebooktwitterで交通機関や道路情報を教えてくれて、私の移動に協力してくれた友人たちに感謝。

ありがとうございました。

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