まっすぐな道
松山にいる頃、南堀端から市役所まで歩くのがとても嫌いだった。
あまりに見通しが良くてまっすぐな道。
まっすぐな道の先にみえている市役所。
道の先には、目標とする場所もはっきりみえて、舗装されたきれいな道をひたすらまっすぐ歩く。
それなのに、いつまでたってもたどり着けないんじゃないかって不安になる。
進んでも進んでも、同じような道がずっと続くんじゃないかって不安になる。
市役所までの距離は500m程度。
そんな短い距離なのに、一歩を踏み出すのが嫌だった。
目標が目の前に見えるのに、ゆっくり歩くのが嫌でつい小走りになる。
目の前に目標が見えないとき、なぜか落ち着いて歩く事が出来る。
一歩一歩進めばちゃんとたどり着く。
見通しが悪いだけに、気がついたときには目の前に来ていたりする。
でも、それは、自分の行き先のが明確にわかっているとき。
今は、私が進んでいる道は、間違っていないのだろうか、
もしかしたら、逆方向に行っているのではないか、そんな不安がよぎる。
そんな時、見通しの良いまっすぐな道をあるくのが苦手だった事を思い出し、
自分で自分を納得させる。
今は、目標は目の前には見えないし、見通しも悪いけど、
一歩一歩進めば、ふと気がついたら目の前に目標としていた場所があるかも知れない。